筋トレを行う上で、ウエイトやマシンをゆっくり動かすのか、素早く動かすのかは意外と盲点となりやすい部分です。
初心者の方でも無我夢中になって物凄いスピードで筋トレに励む人もいれば、逆に丁寧に丁寧にゆっくりと筋トレに取り組む人もいます。
では、この筋トレのスピードに関する疑問、どちらが正解なのでしょうか。
今回は、筋トレはゆっくり行うべきなのか、それとも素早く行うべきなのか、そんな素朴な疑問にしっかりと回答させて頂きたいと思います。
ゆっくり筋トレは半分嘘!速く動かした方が良い部分もある
実は「ゆっくり筋トレ」の半分は嘘なのです。
その理由や、どうすれば効果的な筋トレを行えるかについての詳細は後述します。
この「ゆっくり筋トレ」が広まった背景には、トレーニングジムにおける大人の事情があるようです。
まず、ジムとしては会員さんにケガをされるのは一番避けたいところです。
文句を言われたり退会されたりしてしまいますからね。
そこで、とにかくケガを防止し、限られたトレーナーの人数でも会員の面倒を見る事が出来るよう、「筋トレをゆっくりさせる」という考えを徹底して広めたわけです。
しかし、本当に筋肉増強や筋肥大を考えるなら「素早く動かした方が良い部分」もあるのは間違いありません。
それをこの記事でしっかりと学んでくださいね。
ゆっくり筋トレで筋肥大するための秘訣とは?
ゆっくり筋トレが効果的な場面とは、筋トレにおける「ネガティブな動作をしている最中」です。
ネガティブな動作とは、「筋肉を伸ばしながら力を発揮している状態」の事。
例えば、ダンベルカールで言えば、肘を曲げてダンベルを挙げた後、再び肘を伸ばす動きの事をネガティブと呼びます。
ベンチプレスで言えば、腕を伸ばしてバーベルを挙上した後、再びバーを胸に付けるまでの動きを指すわけですね。
このネガティブ動作はゆっくり行う事で筋肉をより強く刺激します。
重力に抗いながら重いウエイトを支えるわけですから、ストンと速く下ろしてしまうと一気に負荷が抜けてしまいます。
これでは筋肉には、上手く刺激を与える事が出来ないのです。
ゆっくりな筋トレは速筋に効かないってホント?
人間の筋肉は大きく分けると「速筋」と「遅筋」になります。
その名の通り、速筋繊維は体を瞬発的に動かす際に利用されますし、遅筋はジョギング等の有酸素運動で長時間体を動かす際に活用されます。
この二つの筋肉は、発達させた際に外見上大きな差が生まれます。
速筋線維は大きく、太くなりやすいのに対し、遅筋繊維はほとんどサイズが変わらないのです。
ですから、太い腕や丸い肩、厚い大胸筋を手に入れようと願うのなら、速筋繊維を鍛えなければなりません。
ゆっくりな筋トレでは、主に鍛えられるのは遅筋線維です。
ですから、速筋線維を刺激するために、「筋肉を収縮させる動作」を行う時は素早く動かした方が良いのです。
この理屈が分かっていれば、どのような筋トレ動作が最も効率が良いのか自ずと答えが得られますよね。
ゆっくり下ろす・速く上げる これが筋肥大の基本
筋肥大や筋力増強のための最も効率的なトレーニングの仕方。
それは、「素早く力を発揮し、ゆっくりとスタートポジションへ戻る」という方法になります。
再びダンベルカールを例にしますと、肘を曲げてダンベルをカールする時は、グッと素早く上腕二頭筋を収縮させます。
そして、肘を伸ばしスタートポジションにまた戻る時はゆっくり行うのです。
1秒で挙げ、2秒で戻す、を意識すると良いでしょう。
今まで挙げるのも下ろすのも素早くやっていた人の場合、軽い重量・少ない回数でも、かなり強い刺激を得られることに驚くはずです。
ゆっくり筋トレの決定版!超強負荷筋トレの方法とは?
ネガティブ動作の際、なるべく筋肉をスローに動かすゆっくり筋トレ。
このゆっくり筋トレを体系化し、本格的なボディビルダー仕様にまで強化したのが、「MI40」というトレーニングテクニックです。
これは、1秒で挙げて4秒で下ろす、という動作を基本とし、1セット毎のインターバルを40秒に設定します。
扱う重量はMAXの7割程。
1セットあたり8回動作を行い5セット実施した後にインターバル無しのドロップセットを2セット追加します。
これを一つの部位につき4〜5種目実施します。
大胸筋のトレーニングで使われるケースの多いMI40ですが、始めて実施する人は地獄の苦しみを味わう事になるでしょう。
遅筋繊維の多い腹筋はゆっくり筋トレの効果大
筋肉は部位ごとに速筋線維が多い場所と、遅筋線維が多い場所に分ける事が出来ます。
つまり、遅筋繊維が多い場所に関しては、素早い動作を行わず、全てゆっくりな動きで筋トレした方が効率的と言えるわけです。
その代表的な部位が「腹筋」です。
腹筋はほとんどが遅筋繊維で構成されていますから、ゆっくりな動作で、かつ軽めの負荷を数多くこなす方が効果的なのです。
腹筋は20〜30回連続で行える負荷で、3セット程トレーニングすると良いでしょう。
クランチやレッグレイズ等、複数の角度から腹筋に刺激を与えるとより効果的です。
全ての動作をゆっくり行うスロー筋トレの利点
ここまでは、ゆっくりな動作だけで筋トレをするよりも、素早い動作とゆっくり動作の組み合わせでトレーニングした方が、筋肥大や筋肉増強には効果がある事を解説してきました。
ただ、全ての動作をゆっくりで行うスロー筋トレにも利点が無いわけではありません。
スロー筋トレの特性を理解し、その上で正しく目的を設定すれば、スロー筋トレがベストな選択となる場面もちゃんとあるのです。
ゆっくり筋トレの適切な回数とは?
ゆっくり筋トレが向いているのは、まず第一に初心者がトレーニングフォームを練習する時ですね。
どの筋肉が収縮と伸展しているのかをしっかりと認識するにはゆっくり筋トレがベストです。
ゆっくり筋トレの適切回数はおよそ15回前後。
普通の筋トレよりも、やや多めの回数という事になります。
じっくり効かせて正しいフォームを習得する。
そのためには、ゆっくり筋トレがぴったりというわけです。
低負荷でゆっくり筋トレを行う場合のコツと注意点
弱めの負荷で回数を多くゆっくり筋トレを行う場合は、途中で集中力を切らさないよう注意しなくてはいけません。
素早い動作で行う筋トレの場合、否が応でも強い刺激が加わります。
しかし、ゆっくり筋トレの場合は丁寧に行わないと、すぐに刺激が狙ったポイントからずれてしまうのです。
また、10回連続で実施出来ないような重い重量を使ってしまうと、初心者の場合は逆にケガのリスクが高まってしまいます。
これは関節へ長い時間に渡って負荷が掛かってしまうためです。
これらの点に注意しながらゆっくり筋トレは行いましょう。
ゆっくり筋トレで敢えて遅筋を鍛えるメリットとは
ゆっくり筋トレによって遅筋を鍛えると、見た目的な変化は大きくありません。
ただ、筋持久力は飛躍的に伸ばす事が出来ます。
遅筋はあまり大きくならず、体重を増やす事もありません。
その分迫力には欠けますが、エネルギーや血液の運搬能力が向上し、弱い力を長時間に渡って継続的に発揮出来るようになります。
そのため、登山やウォーキング、日常生活においては「疲れにくい体」を作る効果があるのです。
ダイエット目的ならゆっくり筋トレがベスト
ゆっくり筋トレは、ダイエットにもとても効果的です。
筋肉へのダメージが小さいのに対し、消費エネルギーは大きいですから、どんどん体脂肪を燃やす事が出来るのです。
特に、胸・背中・脚といった大きな筋肉を全てゆっくり筋トレで鍛えると、カロリーの消費量がとても多くなりますからダイエットには最適です。
脚を絶対に太くしたくないという人は、上半身だけは普通に鍛え、下半身はゆっくり筋トレを行うようにすると理想的な体を作る事が出来ます。
逆に、強いジャンプ力や速い短距離走の能力を身につけたい場合は、脚についてもゆっくりな動きと素早い動きを混合させた筋トレ方法が良いでしょう。
ゆっくり筋トレのまとめ
それでは最後に、ゆっくり筋トレに関する正しい知識をまとめてみます。
まず、筋肥大や筋肉増強を目指す場合は、ウエイトを挙げる時には素早く、逆に下ろす時にはゆっくりが良いという点は絶対に覚えておかなければいけません。
ただし、初心者の場合に限りトレーニングフォームを習得するまでは、全てゆっくりな動作の方が上達が早くなります。
ダイエット最優先の場合は、全てゆっくりな動作で筋トレを行い、軽い重量で回数を多めに設定する事で、脂肪燃焼をスピードアップさせる事も可能です。
体重を落としたい場合には有効活用してくださいね。
ゆっくりな動きと素早い動きを目的や場面によってしっかり使い分ける事が、筋トレ効率をアップさるためにはとても大切な事なのです。
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筋トレの際には、ぜひ活用してみてください。