日本では昔から「筋トレをして筋肉が増えるとスピードが落ちる」と言われてきました。
また、年配の指導者の多くは、今でも「筋トレで付けた筋肉は使えない筋肉」と選手たちにアドバイスしています。
これは本当に正しい指導なのでしょうか。
最新のスポーツトレーニング事情を解説すると共に、競技スポーツ選手がどのような筋トレをしているかをご紹介していきましょう。
スポーツのために筋トレは必要?不要?
まず大前提として、スポーツのために筋トレは、すべきなのか否かという点を解説しておかなくてはいけませんね。
結論から言ってしまうと、スポーツに筋トレは「絶対に必要」です。
その証拠に、サッカーや野球といったメジャースポーツの一流選手は、海外ではもちろん日本国内においても筋トレするのが当たり前となっています。
しかも、彼らが行うのは軽い自重系種目ではありません。
ヘビーなウエイトトレーニングをガンガン行っているのです。
筋トレをするとスポーツパフォーマンスは落ちる?
「筋トレをするとスピードが落ちる」「筋トレで作った筋肉は使えない筋肉」
これらは全て根も葉もない嘘、デタラメと言えます。
そもそも筋肉は力とスピードの源です。
筋肉があるからこそ爆発的な瞬発力が発揮されます。
これは海外のトップスプリンターの姿を見れば一目瞭然ですよね。
筋トレを否定する古い指導者は、おそらく筋肉とは何たるかという基本を理解していないのでしょう。
筋トレに対する知識が浅いので、指導する事が出来ないわけです。
このような現状は、特にジュニアのスポーツ選手にとっては不幸な事だと言えます。
筋トレがスポーツに与える効果・影響とは
スポーツの種目によって、筋トレで得られる効果や影響は色々と異なります。
例えば、野球であればバットスイングが速くなったり、投球スピードが向上するようになります。
また、柔道のような格闘技では、攻守全てにおいてレベルアップが図られる事でしょう。
スポーツでは基本的に技術レベルが同じであれば、筋力が強い方が有利に働きます。
例外としては、長距離走のような筋力よりも心肺機能が優先される競技ですね。
ただ、基本的には筋力アップによる好影響は、ほとんど全てのスポーツ選手が享受出来るものなのです。
スポーツジムで本格筋トレに励もう!
筋トレを本格的に行うのであれば、スポーツ選手でも一般の人でも、やはりスポーツジムに通うのが一番です。
スポーツジムにはフリーウェイトや筋トレ専用のマシンがたくさん設置してあります。
スポーツ選手が多く通うようなジムの場合は、特にマニアックなマシンも多いですね。
しかも、在籍しているトレーナーのレベルも高いので、しっかり鍛えたい人にとってはピッタリと言えます。
本格的に体を鍛えたいと思っている人は、初心者のうちからこのようなスポーツジムを選ぶのが得策です。
始めは誰だって初心者ですから躊躇する必要もありません。
スポーツ向け筋トレの順番・頻度・回数について
激しいスポーツ向け筋トレは、その順番や頻度、回数をしっかりと守らなくては怪我を起こしてしまう恐れもあります。
まず、順番については、大きな筋肉から小さな筋肉で筋トレするのが原則です。
また、多関節種目から単関節種目といった流れも基本と言えます。
つまり、大きな筋肉である大胸筋を多関節種目であるベンチプレスで鍛えます。
次に、小さな筋肉である上腕三頭筋を単関節種目であるケーブル・プレスダウンで鍛えるといったような流れとなるわけです。
頻度や回数については、全身の筋肉を最低でも週に1回はトレーニングするようスケジュールを組みます。
そして、特に強化したい部分についてのみ週に2回筋トレしましょう。
こうすれば、疲労の蓄積も最低限に抑える事が出来るはずです。
スポーツ別筋トレ方法を具体的に解説!
スポーツには、それぞれ競技の特殊性というものがあります。
ですから、スポーツの種類が違えば鍛える部位や鍛え方も違って当たり前なのです。
必要な部位に必要な筋力を付ける事が最も重要と言えるわけです。
ここではtennis、野球、サッカーというメジャーな三種類の種目を例として取り上げます。
それぞれの競技の選手が一体何を重点に置いて筋トレしているのかを解説していきましょう。
tennis選手が行っているスポーツ筋トレとは?
テニスは極めて激しいスポーツですが、心肺機能以上に筋力も必要となります。
爆発的なサービスショットを撃ち込んだり、やするどいリターンを返すには強靭な上半身の筋力が重要となります。
特に肩と広背筋の力が必要になるため、ケーブルローイングといった可動範囲の大きな種目が適しています。
テニス選手にマッチョなイメージはあまりないかもしれません。
しかし、一流レベルのテニス選手の上半身は、まるで格闘家のように鍛え上げられているものなのです。
野球選手が行っているスポーツ筋トレとは?
野球はパワー重視の週発系トレーニングが適しています。
野球には、ほとんど持久力や心肺機能は必要ありません。
ピッチャーにおいても最近では分業制が定着しており、先発完投型の選手は激減しているのです。
野球選手は、まずドッシリと安定感と粘りのある下半身を作るために、スクワットやデッドリフトなど高重量種目をしっかりやり込む必要があります。
また、パンチ力を付けるためにも、広背筋や脊柱起立筋を鍛えなくてはいけません。
サッカー選手が行っているスポーツ筋トレとは?
サッカー選手の場合は当然の事ながら、脚力が最重要となります。
ただ、持久力も必要となるため、純粋に筋肉量を増やせば良いというわけでもないのです。
そのため、大腿四頭筋やハムストリングスをピンポイントで狙うレッグエクステンションやレッグカールを中負荷で回数を多く実施します。
また、フィジカルコンタクトで当たり負けしないためにも、背筋や腹筋といった体幹部も鍛える必要があります。
スポーツ向け筋トレをダイエットにも活かそう!
スポーツ選手の引き締まった体を見ると、誰でも強い憧れを抱いてしまいますよね。
逆に考えると、スポーツ向け筋トレを応用する事で、一般の人のダイエットにも活用出来ると言えるわけです。
アスリートのような靭やかで逞しい体を作るための、効果的なトレーニング方法について解説していきます。
腹筋をスポーツ向け筋トレ鍛える方法とは?
アスリートのようなバキバキを腹筋を鍛えるためには、どうすれば良いのでしょうか。
スポーツ選手は競技中の複雑な動きに対応するために、腹筋運動に「ひねり」を加えるトレーニングを頻繁に実施します。
通常のクランチやレッグレイズのトップポジションで、上体や下半身をなるべく速いスピードで左右に数回撚るのです。
これを行うだけで負荷は急激に高まり、とても辛いトレーニングとなります。
しかしその分効果は絶大です。
1日も早く腹筋を割りたいという人は是非チャレンジしてみてくださいね。
アスリートも飲んでる筋トレ用スポーツドリンクについて
疲労軽減や回復を促す筋トレ用スポーツドリンクは、アスリートにとって欠かせないアイテムの一つと言えます。
その成分は主に、「BCAA」や「クエン酸」「糖質」から成り立っています。
BCAAというのは、必須アミノ酸の中でも特に重要とされるバリン、ロイシン、イソロイシンの三種類です。
BCAAを飲む事で、血中アミノ酸濃度を保ち、集中力を維持すると共に筋肉の分解を防ぎます。
また、クエン酸には疲労軽減効果があります。
そして糖質はブドウ糖や、マルトデキストリン、クラスターデキストリンといった吸収が極端に早い物を選びます。
これは血糖値を保ち、エネルギー切れを防ぐための成分ですね。
スポーツウェアを着用して筋トレ効果もアップ
ここ数年、スポーツや筋トレ中に着用するスポーツウェアにも進化の波が訪れています。
かつては、ジャージ姿や短パンにTシャツというのが当たり前のトレーニングスタイルでした。
しかし、最近では体にピッタリとフィットする「コンプレッションウェア」が大変な人気となっています。
コンプレッションウェアは、体全体に適度な圧力を掛ける事が出来ます。
この圧力によって無駄な動きを抑えると共に、血流を促進し疲労の回復を促すのです。
また、ウェアラブル端末も普及しており、トレーニング中に様々なデータを採取し、将来のトレーニング内容にフィードバックさせる事も可能となっているのです。
スポーツ選手はどんな筋トレをしてるの?
上で例として取り上げたtennisやサッカー、野球以外にもほとんどのスポーツ選手が積極的に筋トレしている事は、既に解説してきた通りの事実です。
スポーツ選手は自分の競技特性をよく理解し、勝負に勝つための筋力トレーニングを実施しています。
柔道やレスリングであれば、「引く力」が大切になります。
そのため、肩や背中の筋肉は特に激しくトレーニングします。
ボウリングの選手であれば、思いボールに体を振り回されないよう体幹と足腰のトレーニングは余念がありません。
また、利き手側の握力も相当ハードに鍛え込んでいます。
ボディビルダーやフィジーカーは見栄えを重視しますから、体全体をバランス良く鍛えます。
これとは違い、スポーツ向けの筋トレは、競技特性に基づいたトレーニングメニューを考えなくてはならないのです。
スポーツ筋トレのまとめ
スポーツにおけるパフォーマンス向上には筋トレは必要不可欠です。
そして、昔言われていたような、筋トレはスポーツの邪魔になるという考えは大間違いであると言えます。
トレーニングに関する化学的なエビデンスが数多く発表されると共に、筋トレとスポーツの関係はより密接になっています。
今後もそれぞれのスポーツに特化した筋トレ方法が数多く考案される事でしょう。
そして、そのトレーニングをサポートするウェアやサプリメントといったアイテムもたくさん登場するはずです。
スポーツ競技それぞれの技術的な練習と、筋トレによる基礎体力の向上の両方を成し遂げた選手だけが、その種目で大成すると考えられるのです。